2024年04月15日
土田滋博士の台湾原住民語資料データベース構築
2017年07月31日
IRC特任研究員の岡田です。今回は、先日行われた第4回CODHセミナー参加した感想をすこしばかり記したいと思います。
CODHセミナーは、情報・システム研究機構データサイエンス共同利用基盤施設人文学オープンデータ共同利用センター(CODH)の主催するセミナーで、初回は人文学におけるビッグデータの可能性が論じられ、第2回は「くずし字」の機械可読性、第3回は論文や研究資料にDOIというアドレスを振るということについて議論がされており、今回は、近時普及しつつあるウェブ上における画像公開の枠組みであるIIIFについての回でした。これまでの回の資料は、基本的に同センターのリポジトリより公開されておりますので、ご興味のあるかたはぜひご覧ください。
岡田は第2回から参加していましたが、今回はこれまでのどの回よりも参加者が多く、公式記録によれば122名とのことでした。第2, 3回もそれなりに盛況だったと思ったのですが、そこでは40~50名ていどとのことで、倍以上の参加です。
IIIFは、International Image Interoperability Frameworkの略で、ありていにいえば、画像公開サーバーの呼び出し方法(API)の共通規格を策定するコミュニティないしムーヴメントと捉えられるのではないでしょうか。画像公開をするには、サーバーの用意・画像の整理・ウェブでの公開という三段階がまずあるかと思うのですが、IIIFに則って公開することで、ウェブでの公開のコストを切り下げられるという利点が語られていました。
具体的には、IIIF対応のサーバーを用意することで、IIIF対応の既存ビューアーであればどのようなビューアーでも見ることができるため、ビューアーの開発費用が不要になる、特定の商品への依存を避けられるなどといったことが考えられます。IIIFは、すでに技術的には確立した技術を応用したものであるため、仕組みとして安定性が期待できることも利点のひとつに挙げられるだろうと思います。
発表は8分ごとで全16件あり、たいへん濃密な時間でした。おおまかに発表を分類すると、IIIFの開発動向、画像公開に関する各機関およびそれに係わる開発企業の取り組み、および今後参入を予定しているプレイヤーからの期待という三つに分けられるように思われました。
もちろん万能な仕組みなどこの世にはなく、IIIFとどう係わっていくかは、各人各様の判断があり得るとは思うのですが、画像公開を共通規格に則ってしていく際の最有力な候補であることは明らかだろうと思います。JISをふくめ、技術的規格に従う利点とは、単三電池で動くものはどこから出ている単三電池でも動くといったようなことにあります。逆に、単三電池に不満でもなかなか他も選べず、かといって改良が難しいといったこともあるでしょう。
しかしながら、ひろく画像を一般に利用してもらいたいというときには、十分に検討価値のある仕組みのように思います。IRCで画像の一般公開をご検討のかたは一度ご相談ください!